不屈のフルスイングだった。亀井は痛めていた右足を踏み込み、思い切り振り抜いた。「集中力を切らさずに打席に入れました。１球でしっかりと仕留められました」。３点リードの５回１死満塁。初球の内角１３４キロを捉えると、打球は右翼フェンスに直撃した。２点二塁打。右足首じん帯損傷から１４日の中日戦（ナゴヤＤ）で１軍復帰後、初打点を挙げた。
　ビッグイニングの足掛かりを作った。５回。ヒットで出塁した先頭の長野に続き、能見の外角低めのスライダーを叩いて右前にはじき返した。村田の適時打を呼び込み、一巡したフルベースの絶好機で結果を出した。「流れに乗りたいと思って、つなぐ気持ちでいきました」。２試合連続マルチ安打とし、７回の守備からお役ご免となった。
　歩くこともままならなかった。７月３０日のＤｅＮＡ戦（京セラＤ）の走塁中に右足を負傷。その夜、眠りにつけないほど痛みは増した。翌朝、地面に右足をつけず、車いすに乗って大阪から新幹線で帰京。都内の病院で検査を受け、出場選手登録抹消が決定。東京Ｄで原監督ら首脳陣に状態を報告する際は松葉づえを手に「このままではシーズンが終わってしまう」と危機感を口にしていた。

　ファームでの地道なリハビリに加え、一晩中、微弱電流を患部にあてて回復を待った。全治１か月とみられていたが、２週間で１軍復帰し、この日、完全復活を果たした。一挙１２得点の猛攻に「記憶にないですね」と笑顔。チャンスメイク、そしてポイントゲッター。万能６番打者が巨人打線には欠かせない。

ガンバれ

　２回途中の守備から出場。６回先頭でチーム初安打となる右前打で３試合ぶりのヒットをマークすると、８回無死一、三塁では左犠飛を放った。「途中からだったけど、集中していった」

　２試合連続の２番で出場。２回２死満塁の先制機には左飛。２四球で出塁するも、得点にはつながらなかった。「何とか打破しないと…。切り替えてやるしかない」

　３試合連続無安打中。フリー打撃などで大粒の汗を流した。今季は藤浪に対して９打数２安打も、１本塁打で三振はゼロ。「負けられない。しっかり調整していきたい」

　フリー打撃ではライナー性の低い打球をはじき返した。小川とは今季、１４打数５安打の打率３割５分７厘。「あまり考えすぎるのも良くないけど、相性をプラスの材料にしたいです」。中日の小笠原の現役引退には「どんな時も、同じ練習を貫いてやられていたことが印象に残っています」と語った。

　また、小川と好相性の亀井善行外野手（３３）はこの日、現役引退を表明した中日・小笠原道大内野手（４１）の“ガッツ魂”継承を誓った。
　キャプテンとともに打線のカギを握るのが、正真正銘のライアンキラー・亀井だ。今季、１４打数５安打の打率３割５分７厘とハイアベレージを誇る。「あまり考えすぎるのも良くないけど、相性をプラスの材料にしたいです」。チャンスメイクに、ポイントゲッターの役割も担う背番号９がバットでチームを勝利に導いていく。
　三振かホームランのフルスイングと言えば、中日・小笠原道大の打席がフラッシュバックする。この日、今季限りでの現役引退を表明。０７〜１３年の巨人在籍時、坂本も大きな影響を受けた。「自分が試合に出だした頃に、練習に対する姿勢を一番学んだ人。ご自宅にご飯を招待してもらったり、野球の話をしてもらったり感謝しています」。亀井は「どんな時も、同じ練習を貫いてやられていたことが印象に残っています」。一撃必殺の“ガッツ魂”でヤクルトを倒す。

　５試合ぶりにスタメン出場。２回２死から８月３０日の中日戦（東京Ｄ）以来２０打席ぶりの安打を右前に放つなど、マルチ安打で貢献した。「ヒットの感触を忘れていました。この勝ちは大きい」

　３回２死一塁から中前打を放つなど、２試合連続マルチ安打。９月に入って６戦連続無安打と苦しんだ期間もあったが、「感覚は戻りつつありますが、ここからは、勝つか負けるか。いい場面で打てるようにしたい」