>>615
関係の維持のみならず野党内では憲法改正に慎重な立憲民主党ではなく、維新に勢力を拡大してもらいたいという思惑があった。
2016年、安倍は盟友の渡辺喜美元行革担当相が「おおさか維新の会」から参院選に出馬することも仲介した。
みんなの党の解党後に落選して行き場を失っていた渡辺だが経済政策では安倍に近く、国政政党としての維新の知恵袋になってほしいという思惑があった。
だが渡辺はそんな安倍の思いとは裏腹に、翌2017年に維新を飛び出して無所属となり去年の参議院選挙で立候補断念、政界引退に追い込まれた。
私は渡辺の不出馬が決まる直前、安倍に連絡を取ってみた。「渡辺さんに再び手を差し伸べないのか」と尋ねると、安倍はやや寂しそうにこう答えた。
「仕方ないよ。彼はもうちょっと維新で我慢していれば、いまごろ維新の中心的存在になっていたはずだ。もったいない」
その2週間後、安倍は遊説先の奈良で凶弾に倒れた。2日後の参議院選挙では日本維新の会が躍進。比例票では785万票と、立憲の677万票を上回った。維新が野党第一党になるという安倍の描いた画図が安倍が亡くなってから現実味を帯びてきたのである。